肝硬変治療のガイドライン

ウイルス性肝硬変に対する包括的治療のガイドラインとして、厚生労働省から発表されているのが、以下の通りです。

A)治癒目的のIFN療法(C型肝炎)
1b・高ウイルス量以外のC型代償性肝硬変に対するIFN療法は治癒率も比較的高いことから年齢、血小板値と副作用の素因などを考慮して積極的に行うのが望ましい。

1b・高ウイルス量のC型代償性肝硬変に対するIFN療法は治癒率も低いことから遺伝子構造や遺伝子変異を測定し、IFNの効果の良い症例を選択すべきである。

B)治癒目的の核酸アナログ治療(B型肝炎)
B型肝硬変(代償性・非代償性)症例への初回治療の核酸アナログ製剤はエンテカビルを第一選択とし、一方、ラミブジンまたはエンテカビル耐性株出現例ではラミブジン+アデホビル併用療法とする。

B型肝硬変(代償性・非代償性)症例への核酸アナログ投与は、HBs抗原が陰性化するまで長期投与する。

C)発癌予防および肝癌再発予防目的の治療
C型肝硬変で治癒目的のIFN無効例にはALT,AFP値の低下を目指しIFNの少量長期療法を行う。または、ALT値改善を目指し強力ミノファーゲンC、ウルソデオキシコール酸などの肝庇護療法を行う。

B型肝硬変および肝細胞癌治癒後の症例でHBV DNA 4 log copies/mL(ウイルス量の測定単位)以上を示す例では核酸アナログ製剤でHBV DNAを低下させ再発予防を目指す。

肝硬変症例には血清アルブミン値の低下を考慮して分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)を使用して発癌の抑制を目指す。

肝硬変の治療ガイドラインに対しては、このような補足があります。

@ C型代償性肝硬変に対するIFNの投与法は、初回投与量1日600万単位をできる限り連日投与(2〜4週間)し、HCV RNAが12週以内に陰性化した症例はその後慢性肝炎同様48週間〜72週間の長期投与が望ましい。

A C型代償性肝硬変に対するIFN投与で12週以上経過してもHCV RNAが陰性化しない症例では、発癌予防を目指して1日300万単位、週3回投与の長期投与を行うが、投与開始6か月以内にALT値やAFP値の有意な低下が見られない場合は発癌抑制効果が期待できないため、治療を中止する。

B 血小板値が5万以下のC型肝硬変では、IFNの治療効果を十分検討の上、脾摘手術(脾臓を摘除する)あるいは脾動脈塞栓術(脾動脈を塞栓物で閉塞して血流を遮断する)施行後IFN治療を行うことが可能である。

病院で受けられる肝硬変の治療法

検査により肝硬変と診断された場合、できるだけ早い時期から専門医による治療を受ける必要があります。肝硬変になってしまったら、もとの健康な状態の肝臓に戻すことは大変困難なのですが、そのまま放置していると肝臓がんに進展してしまうリスクがあるので、治療をしながらがん予防をし、回復を目指すことが大切です。

肝臓という臓器は再生力がとても優れているため、適切な治療を適切に受けることにより、難易度が高いといわれている肝硬変の症状と腹水の症状を抑えることは十分に可能です。中でも、慢性肝炎から発展した肝線維化肝硬変はさらに治療による回復が見込めます。

代償期肝硬変の場合、病院でほどこされる治療は、肝機能回復治療です。肝臓の炎症を抑えるためにウルソデオキシコール酸などの内服薬や、炎症の程度が強いときにはグリチルリチン製剤などの注射薬が使用されます。薬による治療と並行して生活指導を受けます。肝細胞癌の早期発見を目指して、定期的な外来通院をすることが大切です。

非代償期肝硬変の場合は、症状がかなりひどくなっているので入院が必要になる場合が多いでしょう。入院先では、肝線維化抑制薬物の投与を行いながら、合併症に対する治療が中心になります。特に腹水や浮腫みに苦しむ方が多いのですが、このような症状には尿量を増やしてむくみをとるスピノロラクトンやフロセミドなどの利尿薬が使用されます。

また、肝臓の解毒作用が低下すると血液中にアンモニアが増えてしまい、肝性脳症を引き起こす恐れがありますので、このような場合には、ラクツロースなどのアンモニアを低下させる薬や、分岐鎖アミノ酸を含む内服アミノ酸製剤により血液中のアンモニアの増加を防止します。また、出血傾向もみられるため、ビタミンKの補充や血液凝固因子の補充目的に輸血が行われることもあります。
病院での治療法は、症状によって異なりますので、専門医の指示に従い治療に専念するようにしましょう。

肝硬変患者に適用される治療法いろいろ

肝硬変になってしまうと、健康な状態の肝臓に戻すことは大変困難なのですが、肝臓がんを予防するためにも適切な治療をほどこす必要があります。肝硬変の病態によっても治療法は異なるのですが、症状や種類別に治療法をご紹介します。

薬物療法
肝硬変そのものに対する治療薬はなく、むくみ、腹水、肝性脳症、出血傾向など、肝硬変によるあらゆる症状を抑えるための治療を行います。むくみや腹水を改善するための利尿薬や、アンモニア増加を抑制するアミノ酸製剤など、薬剤で治療をします。

ウイルス性肝硬変でのウィルス療法(インターフェロン)
ウイルスを除去・減少させることにより、AST(GOT)、ALT(GPT)の値の正常化を目指し、肝細胞がんリスクを低くすることが目的です。インターフェロンは、ある程度肝機能が保たれていれば受けることができる治療です。ウィルスを排除するために、体内では生成しきれないインターフェロンを外から投与してあげる療法です。インターフェロンはα、β、γの3種類が発見されており、このうちのαとβが治療に用いられます。

食事療法
薬物を使用した療法以外にも、食事療法はとても重要な治療法です。症状などによっても異なるのですが、大切なのは「1日に必要なカロリーを多すぎず、少なすぎず、適量を摂取する」「たんぱく質はほどほどにし、取りすぎないこと」「塩分は1日7g程度に抑える」「鉄分の摂取を控える」など。医師の指示がありますから、必ず従うようにしましょう。

生活指導
食事療法とともに、生活指導を行うことが多いです。過労しないための仕事の指導や、禁酒の指導、肝臓の働きをさらに低下させてしまうような薬物や食品を使用しないための指導なども行います。

合併症の治療
肝硬変は合併症を引き起こす恐れがありますので、肝硬変の治療と一緒に合併症の治療が行われることがあります。

肝移植
B型およびC型肝硬変や、肝がんに対する肝移植が増加しています。現時点では、肝移植による成績ではB型よりもC型肝硬変で予後が不良であり、移植後の抗ウィルス療法の確立が課題となっています。

肝硬変の代表的な治療方法「インターフェロン」

肝硬変の代表的な治療法は、大きくわけて「ウィルスを排除する治療法」と「肝臓の炎症を鎮め病気の進行を抑える治療法」の2種類に分けられます。C型慢性肝炎・C型代償性肝硬変の場合には、C型肝炎ウィルスを体内から排除して、感染からの治癒を目指します。

また、ウィルスの増殖を抑える働きをもつ「インターフェロン」が代表的な治療方法として知られています。肝硬変の方でも、ある程度肝機能が保たれていればインターフェロンの治療を受けることができます。インターフェロンとは、がん細胞やウィルスなどの異物に反応して細胞が分泌するたんぱく質で、ウィルスやがん細胞の増殖阻止をし、抑えこむなど、免疫や炎症の調整をする機能を持ったサイトカインの一種です。

インターフェロンの抗ウィルス作用はとても強いのですが、HCVのように感染が持続しやすいウィルスに対しては、体内でつくられるだけのインターフェロンでは追いつくことはできません。そこで、その不足分を補う大量のインターフェロンを外から追加することで、ウィルスを排除するのです。

肝硬変の方への投与方法としては、インターフェロンβを600万単位で1週間内、その後5週間、半分の量の300万単位を打ってそこから300万単位を1日おきに打っていって、9ヶ月間続けるという投与方法が一般的です。9ヶ月続けることにより、肝機能が正常化する方は50%ほど。ただし、かなり高額な治療のひとつだということは知っておきましょう。

インターフェロンを適用できない患者さんや、インターフェロンで治療をしてもウィルスが排除できなかった患者さんを対象に、肝臓の炎症を抑えて病態悪化を予防する治療法が適用されます。一番の目的は、肝機能であるAST(GOT)、ALT(GPT)をできるだけ正常に近づけること。ウィルスが排除できなかったとしても、これらを低い値に保つことができれば、肝がんの発生リスクを軽減できることがわかっています。

治療には、飲み薬、注射薬、少量のインターフェロンがこの目的で使用されます。治療方法が適用できるかどうかは、その患者さんによって異なりますので、医師に相談しながら自分に向いている治療を知りましょう。

肝硬変の治療に使われる薬一覧

肝硬変と診断された場合、専門医による治療を受ける必要がありますが、多くの場合薬による治療が主となります。使用される薬は、症状や病院によっても多少の違いはあるのですが、代表的なものをまとめてみました。

まずは、肝硬変の代表的な症状である「腹水」を改善するための薬。尿を出して、腹水やむくみを改善するために利尿薬が処方されます。利尿薬には、「スピノロラクトン」「フロセミド」「アルダクトン」「ラシックス」などがあります。また、肝硬変になるとアルブミンというたんぱく質の一種が不足して水分を血管中に保てなくなるため腹水が起こります。そのため、アルブミン製剤を投与することで腹水の改善をはかります。

アンモニア代謝ができなくなることで引き起こされる「肝性脳症」を改善するための薬も投与されます。薬には、アンモニアの生成や吸収を抑える「合成二糖類(ラクツロース・ポルトラック)」、アンモニアを作り出す腸内細菌を抑える「難吸収性抗菌薬(カナマイシン)」などがあります。便秘解消のために、「酸化マグネシウム」「マグミット」「センノシド」「アローゼン」「ピコスルファート」「テレミンソフト」や、整腸剤「ビオフェルミン」「ミヤBM」なども。

肝硬変になると、肝臓の働きのひとつである、たんぱく質の合成や栄養の貯蔵ができなくなります。そのため、筋肉で代謝される分岐鎖アミノ酸「BCAA」が使われるようになるので不足傾向になり、肝臓で代謝される芳香族アミノ酸「AAA」が代謝されずに増えていきます。筋肉はたんぱく質を壊してBCAAをつくろうとするため、筋力も低下してしまうのですが、BCAAは食事だけで摂取するのは困難です。

それを補うためにBCAA製剤「リーバクト」などが投与されます。また、肝不全用成分栄養剤「ヘパンED」「アミノレバンEN」なども使用される場合があります。投与される薬は、患者さんの症状や病院によっても異なりますので、担当医とよく相談して処方してもらうようにしましょう。

肝硬変の最新の治療法を紹介

肝硬変は一生治らない病気として知られてきました。また、肝臓がんに進行してしまう恐れもあることから、肝機能障害を患った方から大変恐れられていました。しかし、最新の研究では薬剤や他の治療によって症状を抑えることが可能だということが判明しました。末期の症状に入った後にも、適切な治療を施せば症状が安定することが臨床観察の結果わかっています

肝硬変を治療するためには、まずはその症状の治療と、病因の治療両方を行うことが大切です。病因の治療とは、肝硬変になった源を探しだし、それを治療するということです。原因はいろいろありますが、例えばB型肝炎やC型肝炎が原因で肝硬変になった場合は、そのウィルスをなくす治療をすることが先決なのです。

肝硬変検査で代償期肝硬変と診断された場合は、肝臓機能を回復させるための治療が必要です。基本は「生活指導」「肝機能回復治療」の2つが行われます。過労しないように仕事をし、食事の面では栄養に気をつけながら消化しやすい食事をとるように心がけます。飲酒は絶対にNGです。

非代償期肝硬変の治療には、「食事」「ビタミン補充」「薬物の投与」を基本にする他、慢性肝炎の病歴がある場合は、肝炎を制御することを忘れず、必要な時はウィルス抑制治療や免疫調整治療も行うようにします。肝硬変患者には、ビタミン成分も必須。肝臓に障害を負うとビタミンが貯蓄できなくなるため、適量に補充してあげるようにします。

薬剤の投与には、肝線維化抑制の薬を用います。薬を動物実験で実用した結果、肝硬変から肝臓がんへ進行することを予防できる効果が認められましたが、まだ臨床ではそれほど使われていないようです。他には、「養生片仔廣」などが用いられます。こちらは短期間でGPTとGOTを改善できる薬剤で、疲れやすさ、不眠、食欲不振などの症状の改善も期待されています。肝臓病の完治を叶える薬ではありませんが、肝臓の線維化も改善できることがわかっており、肝臓がん予防に役立つことがわかっています。


しじみ習慣で肝臓を労わろう