お酒好きは知っておこう!アルコール性肝炎とは

お酒が好きな方、特に毎日のようにアルコールを摂取している方に是非知っていただきたい病気があります。それが、「アルコール性肝炎」です。アルコール性肝炎とは、アルコールによって引き起こされるアルコール性肝障害のひとつです。

肝臓は、500種類もの化学反応を短時間で行う臓器で、さまざまな働きがあり、アルコールの分解もその働きのひとつ。肝臓でアルコールを分解し、吸収して中性脂肪などに変えてエネルギー源として体の隅々に送ります
肝臓が正常な働きを行える範囲のアルコール量は、男性で1日40g(日本酒約2合)、女性の場合は1日20g(日本酒約1合)とされています

肝臓が1時間に処理することができるアルコール量は日本酒約4分の1合といわれており、アルコールを一度に大量に摂取してしまうとオーバーワークとなり、肝細胞にダメージをもたらしてしまうのです。この状態が続くと肝臓に中性脂肪がたまるようになり、30%以上たまると「脂肪肝」となります。脂肪肝になると血流障害や肝細胞の壊死が起こり、アルコール性肝炎が発症します。

アルコール性肝炎になると、肝臓が腫れるため腹痛が起き、発熱、だるさの他、黄疸もみられるようになります。ひどくなると腹水とむくみが出現し、検査では急性肝炎と類似の血液検査異常を示します。さらに進行すると意識がぼんやりする、異常な行動をとるなどの意識障害や全身の出血などがあらわれ、最悪の場合昏睡状態に陥り死亡することもあります。

多量飲酒者が必ずアルコール性肝炎を発症するわけではありませんが、一度アルコール性肝炎を発症すると、飲酒により繰り返しアルコール性肝炎を起こすようになり、放置すると肝硬変へと進行してしまいます。アルコール性肝炎の治療には、禁酒が第一です。しかし重症化して自覚症状が強い場合は入院をして症状に応じた治療を受けます。日頃飲酒をする方は、アルコールをとらない休肝日を設けるようにし、定期的に検査を受けるようにしましょう。

知っておきたい、アルコール性肝炎の症状

アルコールを飲みすぎると、肝臓に障害を起こすことがあります。飲みすぎることでまずは脂肪肝になりますが、こちらは飲酒をやめれば短期間で改善するのが特徴です。しかしそのまま飲酒を続けていると、アルコール性肝炎へと進展します。

アルコール性肝炎は、脂肪肝と同じくあまり症状を感じないことが多いのですが、実際は比較的症状は強いといわれており、急性肝炎と同じような症状が現れます。中には、ほとんど症状を感じない方もいるようです。

症状を感じる場合、まずは腹痛や発熱が発生します。特に右上腹部が痛み始めたら、アルコール性肝炎の疑いは高いです。発熱を感じるとき、多くの場合この時点でアルコールが体内にあり、酔っぱらっている状態なので、アルコール性肝炎の症状としての発熱なのか、それとも酔っぱらっていることで体が熱くなっているのか、判別することはほぼ不可能だといえるでしょう

ほかにも、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状があらわれます。腹痛や発熱のあとに見られるのは、黄疸症状です。黄疸とは、ビリルビンという色素が何かしらの原因により血液中に増加して、その結果全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態のこと。飲酒のあとに黄疸症状がみられたら、アルコール性肝炎を発症している可能性は高いといえます。

日本人は黄色人種であるため、全身に黄疸が出ているかどうかを判断するのはとても難しく、黄疸が出ているかどうかの判断は、通常は眼球結膜を見て行います。黄疸が出ていると、全身の倦怠感、疲労感、皮膚のかゆみ、尿の色が濃くなるといった症状を伴います。腹痛や発熱はそれほど自覚症状として現れなくても、黄疸症状はよく観察すればわかるため、早期発見の目安といえます。

アルコール性肝炎が進展し、アルコール性肝硬変に陥ると、黄疸や腹水や吐血のほか、糖尿病などを併発する恐れがあるので、定期的に検査を受け、アルコール性肝炎の症状が悪化する前に、適切な治療や予防を行うようにしましょう。

アルコール性肝炎の初期症状

肝臓に障害がある初期には、まずはアルコール性脂肪肝を生じます。アルコール性脂肪肝になっても、初期症状があるのは非常に稀で、腹部超音波検査で見つかるケースが多いです。最近では、食べ過ぎによる肥満や糖尿病による脂肪肝も増えているので、アルコールを普段から摂取している方はきちんと区別することが必要です。脂肪肝の状態を放置し、さらに大量の飲酒をした場合に、アルコール性肝炎へと進展します。症状が悪化していくことで、腹痛、発熱、黄疸といった症状が現れるようになり、最悪の場合死亡することもあります

初期症状として最も多いのが、腹痛です。腹痛がみられた後に発熱しますが、多くの場合はこの時点で体内にアルコールがある、酔っぱらっている状態なので症状を自覚することはないといえるでしょう。発熱により体が熱いのか、酔っぱらっているから熱いのか判別することが大変困難なのです。腹痛と発熱のあとに見られるのが、黄疸です。黄疸というのは、全身が黄色くなったり、白目に黄色みが増したりする症状のこと。飲酒をした後に黄疸症状が現れた場合は、アルコール性肝炎を発症している可能性が高いといえるでしょう。

アルコール性肝炎の初期症状は、総じて非常に気づきにくいものだといえます。実は比較的強く自覚症状が現れてはいるのですが、お酒に酔っ払っている状態に生じることが多いため、少し進行しなければ自覚できないことが多いのです。

アルコール性肝炎、またはアルコール性脂肪肝と診断された場合はその時点で禁酒することを心がけましょう。中には、アルコール依存症になっている方も多く、心の治療をすることも必要になります。アルコール性肝炎の治療をし、軽快した場合も、また飲酒をするようになるとやがて肝硬変になるのは避けられません。

アルコール性肝炎になる飲酒量とは?

飲酒によって、様々な疾患をもたらすこともわかっているので、アルコールは適正量とることが望まれます。アルコール飲料には色々とありますが、飲酒量は「ドリンク(単位)数」に換算されています1単位はアルコール12グラムと定められていますが、国によっては10〜14グラムまでの幅があるようです。米国の研究では、適量の飲酒によっては冠動脈性心疾患を予防することがわかっていますが、例えばビールの350ミリリットル缶がこれに相当します。ワインは1グラス程度の量、ウィスキーやジンなどの強いアルコールは、30ミリリットル程度のワンショットがこれにあたるでしょう。また、日本酒1合の場合は、1.5単位に換算できます。

以前マスコミで報じられていたのが、毎日1から3単位までの飲酒は、心疾患の発症率を60%も低下させ「5単位までは安全圏」ということです。そうなるとビール缶5本飲んでも大丈夫だということで、アルコール好きの方は大変喜ばれたと思います。しかし、近年の研究では飲酒と病気、死亡の関係性について報告されており、45歳以上の男性で毎日4単位までの飲酒は、死亡率が飲酒量ゼロの場合とそうかわりはなく、ただしそれ以上摂取するとぐんと死亡率がアップすることがわかっています。

また、生涯に酒をどのくらい飲んだらどれだけ肝臓障害が進行してしまうか、という点についてドイツのアルコール性疾患クリニックで調査が行われたようです。ただし体格など日本人に置き換えることが難しいため、日本でも独自の調査が開始されました。その結果、日本では生涯摂取量500キロ以上を、アルコール性肝障害の必要条件としてかかげられるようになりました

これは、最も症状が軽い脂肪肝と、はっきりと炎症があらわれる脂肪性肝炎の、ちょうど中間に位置しているといえます。肝硬変を患っている方の生涯アルコール摂取量は1322キログラムで、慢性肝炎を患っている方の781キログラムとは一桁違うという結果になりました。アルコールを1トン以上飲むと、肝硬変発症のリスクが高まるといってもいいでしょう。

アルコール性肝炎の診断基準とは

アルコールが原因とされる肝障害の診断には、症状や飲酒歴を知ることが重要で、特にアルコール依存症がどうかで治療方法も変わってきます。日本では、文部省高田班によって「アルコール性肝障害の診断基準試案」が頻用されています。アルコール性肝障害診断基準は、以下の通りです。

@ 常習飲酒家(平均日本酒換算3合以上/日の飲酒)または、大酒家(平均日本酒換算5合以上/日の飲酒を5年以上継続した場合、ただし女性の場合はその2/3程度、またALDH(アルデヒド脱水素酵素)2活性欠損者では、3合以下/日の飲酒でもアルコール性肝障害を起こしうる)。
A 4週間の禁酒によりGOT、GPTが80IU/l以下になる(禁酒開始前の値が100IU/l以下の場合は正常値になる)。
B 次のうち少なくともひとつが陽性。
a) 4週間の禁酒により、γ-GTPが禁酒前の値の40%以下、または、正常値の1.5倍以下になる。
b) 禁酒により肝の大きさが著明に縮小する。

日本酒1合というのは、ビール大瓶1本、ウイスキーダブルで1杯、ワイングラス1杯半に相当します。毎日のように飲酒をしている方が、連続的に大量飲酒をすることでアルコール性肝炎が発症する可能性があります。文部省高田班が公開している臨床的診断基準は以下の通りです。

@必須項目
a) 飲酒量の増加を契機に発症
b) GOT優位の血清トランスアミナーゼの上昇
c) 血清ビリルビンの上昇(2mg/dl以上)
A 付加項目
a) 腹痛
b) 発熱
c) 白血球増加
d) ALPの上昇(基準値の1.5倍以上)
e) γ-GTPの上昇(基準値の2倍以上)

また、JASBRA(アルコール医学生物学研究会)によるアルコール性肝障害の診断基準2011年版も公開されており、そちらにはこう規定されています。
肝組織病変の主体が、肝細胞の壊死・炎症であり、@小葉中心部を主体とした肝細胞の著明な膨化(風船化)、A種々の程度の肝細胞壊死、Bマロリー体(アルコール性硝子体)、およびC多核白血球の浸潤を認める。
定型的:「@〜Cの全てを認めるか、BまたはCのいずれかを欠くもの」
非定型例:「BとCの両方を欠くもの」

アルコール性肝炎が疑われる検査値とは

肝臓障害の検査をする時に必ず行われるのが、GOT(AST)とGPT(ALT)検査です。最近まではGOTとGPTと呼ばれていましたが、近年、GOTはAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、GPTはALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)という名称に変更されつつあります。

急性肝炎や肥満に伴う脂肪肝などでは特にGPTの上昇が著しく、GOT÷GPTが1以下になるのですが、「GOT/GPT>1(GOT値が大きい)」の場合はアルコール性肝炎が疑われます。また、γ−GTP(ガンマジーティーピー)の検査値もアルコール性肝炎がどうかを見極めるポイントとなります。それぞれの基準値は以下の通りです。

GOT検査値
基準値…30以下
要注意…31〜50
要受診…51以上
GPT検査値
基準値…30以下
要注意…31〜50
要受診…51以上
γ−GTP検査値
基準値…50以下
要注意…51〜100
要受診…101以上

GOTは肝細胞に多く含まれているため、肝細胞のダメージが進むと血液中のGOTの値が異常に上昇します。障害の程度によってはGOTの上昇度に差がありますが、細胞の障害が強いほど数値は高くなります。GOTは肝細胞だけでなく、心臓の筋肉などにも多く含まれているため、肝臓病だけを検査できるわけではありません。例えば、急性心筋梗塞が起これば基準値が数倍から10数倍程度上がります。

γ−GTPはアルコールに大変敏感で、ほぼ毎日お酒を飲んでいる方では高い数値が出やすくなります。特にアルコールによる肝臓障害がある場合は、胆道系酵素よりも早く異常値を示すのでふるいわけとしてよく使用されています。アルコール性肝炎の検査には特に重要な検査値だといえるでしょう。

GOTとGPTの検査値が正常で、γ−GTPだけが高い場合は数日間禁酒した後に再検査を受けましょう。その際の検査値が正常であれば、肝障害の心配はありません。もしも異常な数値が出た場合はアルコール性肝炎以外の肝臓の病気が疑われるので精密検査を受ける必要があります。適切な検査を受けて、異常が認められた場合は医師の指示に従い治療を始めましょう。


しじみ習慣で肝臓を労わろう